HLB Meisei有限責任監査法人は、HLBInternationalのメンバーファームであり、監査・保証業務、会計・税務、コンサルティングサービスを提供しています。業務品質の向上と効率化を重視し、20年前の設立当初からDX化を推進。早くからCAATツールを導入し、より正確で信頼性の高い業務を遂行してきました。
今回は、そんな同法人がDataSnipperを導入した背景と、その活用事例について伺いました。
監査業界では、規制が年々厳格化しており、それに伴い監査業務の作業量やドキュメンテーションの負担も増加し続けています。特に、ISQM 1 & 2 をはじめとした国際的な品質管理基準の適用により、限られたリソースの中で、監査の品質を維持しながら業務を遂行することが求められるようになりました。しかし、新たな監査人材の確保は難しく、人員や時間にも制約があるため、業務の効率化が課題となっていました。
業務の自動化を行わずに監査の精度を向上させようとすると、手間が増加し、それに伴いコストも膨らんでしまいます。コストとクオリティの両立を実現するためには、自動化が必須でした。監査業務のDX化に向けた取り組みの一環として、クライアントからのPDFやExcelデータのクラウド上での受け渡しや、基本的な会計データの取得から処理までといった業務は自動化できていましたが、証憑突合の自動化には対応できていませんでした。PDF上の文字や数字を他のデータと突合する作業は、どうしても手作業にならざるを得ず、それは開示チェック業務でも同様でした。さらに、開示資料を受け取った後、クライアントへ資料を戻す前に少なくとも数日以内にチェックを完了させる必要があり、業務全体のスピードアップが急務でした。
「DataSnipperを導入したことで、証憑突合や開示チェックの作業スピードが大幅に向上しました。特にFSSによって、開示チェックの対象項目が自動でリストアップされるため、見落としがなくなりレビューもスムーズに進んでいます。また、開示資料の対応も迅速化され、1日以内に作業を終える必要があるケースにも柔軟に対応できるようになりました。」
DataSnipperを導入した決め手は、証憑突合の自動化に加え、開示チェックにも対応できる包括的な機能を備えていたことでした。Document Matching機能により証憑突合の手作業を削減し、さらにFinancial Statement Suite(FSS)を活用することで、開示チェックの効率化と精度向上を実現できると判断しました。
導入後、特に突合案件が5件以上ある場合、Document Matchingを活用することで作業スピードが大きく改善し、作業負担が軽減されました。FSSにより開示チェックの業務時間も大幅に短縮され、各エンゲージメントにおける合計チェック、前年度との比較、内部整合性チェック、そして修正前後のチェック全体にかかる時間が半減しました。
特に内部整合性チェックは、チェック対象箇所が自動でリストアップされるため、スタッフが迅速かつ網羅的に確認できるようになりました。FSS導入以前は、マネージャーからスタッフへどの項目をチェックするべきか伝える必要があり、また、確認漏れが発生することもありましたが、FSS導入後はこうした状況が改善され、レビュー作業が格段に楽になりました。
さらに、開示チェックにおいて、比較対象箇所をスクリーンに並列しながらスムーズに確認できるため、効率的に作業を進められるようになりました。これらの結果、注記チェックやその他の開示の部分に時間をかけられるようになりました。
証憑突合や開示チェックの自動化により、業務スピードが向上。レビュー時間が短縮され、短い納期の監査案件にも対応しやすくなりました。
FSSの自動化機能により、確認作業の負担が軽減。見落としが減り、レビューの精度が向上しました。
開示チェックにかかる時間が半減されたことで、監査チームは品質を維持しながら、より多くの業務に時間を割けるようになりました。